wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

野村育世『烏帽子と黒髪』

本日の千里山で読了。少し前の刊行だがせこく割引販売になってからようやく購入したもの。成人男性の身分標識としての烏帽子・女性の垂髪について、著者自身が作画した絵画資料の模写を紹介しながら、その特質について明らかにしたもの。絵画史料論華やかなりしころに黒田日出男・保立道久によって身分制論とあわせて確立したところで止まっていた分野だが、ジェンダー論を取り入れることで一段階アップデートされたものになり、学界全体にとって有益。「とりかへばや物語」を要所で用いることで、中世に明確になった男女の明確の差と、当時の人々の感じ方を示しているのも興味深いところ。

烏帽子と黒髪 - 株式会社 同成社 考古学・歴史・特別支援教育図書の出版社 

近所のスーパーがリニューアルしたので、出かける前に寄ってみると行列ができており断念。帰路もやはり行列で別の本を読みながら10分弱待ってようやく入ることができた。広告は見かけなかったが、びっくりする値段で大丈夫かと思うほど。何回も買い物に来ている人もいるからだろうが、当方も含めて貧者の分厚さは、中世社会に匹敵するということを実感・・・。