wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

2024-01-01から1年間の記事一覧

大阪中之島美術館「醍醐寺国宝展」

本日は中百舌鳥定期試験。レターBOXには某書房からのDM、シラバスがネット公開されているためだろうが、全ての出講先に届くのはやはり気味が悪い。最新の通史ということで、あるシラバスには参考図書としてあげてあるが、教科書にできる代物ではない。それは…

酒井元樹『名物刀剣』

本日は千里山最終回。ますます引きこもり・出不精になるので、読みさしの表題書を片付けておく。前職で手をつけ、行きがかりから今年度も短文が執筆したこともあり、特別販売で購入していたもの。刀剣武器であることを前提として、美と権威がメビウスの輪に…

千葉聡『ダーウィンの呪い』

本日は中百舌鳥最終日。電車読書はネオリベへのやるせない想いから、ふと思い立って先日衝動買いしたもの。進歩せよを意味する「進化の呪い」、生存闘争と適者生存からくる「闘争の呪い」、自然の事実から導かれた人間社会も支配する規範だからとする「ダー…

回顧と展望(2023年版)

本日ようやく非常勤先の図書館で確認。2度ほど執筆経験があるためご苦労様でしたとしかいえないが、『「鳴門の渦潮」と淡路島の文化遺産』所収の中世史関係が3本とも無視されていたのはどうかとは思うところ。今年のような時代区分をした場合、当方のものは…

揖斐高『頼山陽』

本日は組合の雑用。途中に空き時間がありそこそこ読み進み、残りをさきほど読了。積ん読が枯渇しかかっていた時に衝動買いしていたもの。この分野については全く不勉強だったが、広島藩儒者の嗣子としてうまれながら脱藩・出奔して、京都を拠点に私塾を開き…

小野真龍『天王寺舞楽』

本日は枚方3コマ。帰路の電車が接続待ちで10分ほど遅れたが、ちょうど最寄り駅で夕立が止むという、不幸続きの人生には珍しい幸運。そういうなかで電車読書はタイトルで購入していた表題書。最初に宮内庁主席楽長を勤めた方が四天王寺聖霊会を観覧して、近代…

池田嘉郎『ロシアとは何ものか』

本日近所のシニア向け講義に出かける前に時間があったので、読みさしを読了。財政難からインドとの二択で、歴史側ということで衝動買いしていたもの。ロシアが土地の私的所有権が未成立(全土所有者たる専制権力に属する)、皇帝と教会は不可分の関係にあり…

「○月○日、区長になる女。」

本日は中百舌鳥1限。試験問題も提出し、前期の仕事のほぼめどが立ったため、サービス・ディの映画鑑賞。リサーチしたところ、1月公開の表題作品が、ちょうど限定アンコール上映されていたため観覧。物語は、劇作家・演出家の監督の住まいが都市計画道路によ…

荘園史研究会編『増補新版荘園史研究ハンドブック』

いただきものを、本日ようやく読了。2013年刊行の旧版(不勉強で当方は全く接していない)に、コラム史料の読み方、荘園絵図およびDBに関わる付論を加えたものという。研究状況は気候データを組み込んだもの以外は、旧版刊行までに当方と同世代の方々によっ…

山本文彦『神聖ローマ帝国』

引き続き電車読書の備忘。秋の講義のため頭の整理のために衝動買いしていたもの。カール大帝のカロリング朝から、ナポレオンを保護者として成立したライン連盟の連邦離脱、ハプスブルク家フランツ二世の退位(放棄)宣言までの全史を一書で読めるのは有益で…

神戸市立博物館「テルマエ展」

本日はお座敷にお呼ばれ。ただ円心から洞松院まで詰め込んだため、聞く側を混乱させてしまったよう・・・。11:30終了だったが、遠方のため阪大裁判の証人尋問の傍聴にはきつく、表題の展覧会を観覧。某漫画とコラボした古代ローマが主な内容で結構な値段だった…

野村育世『烏帽子と黒髪』

本日の千里山で読了。少し前の刊行だがせこく割引販売になってからようやく購入したもの。成人男性の身分標識としての烏帽子・女性の垂髪について、著者自身が作画した絵画資料の模写を紹介しながら、その特質について明らかにしたもの。絵画史料論華やかな…

2024年度国保税

本年度の決定通知書が送付。昨年の減収で年間7万円ぐらいは安くなったが、それでも結構な負担。なお保険料が算定所得の20%を超えたため、わずかながらの特別減免があるらしい。ただし必要事項を記して返信用封筒を投函しなければならないとのこと。その書類…

川尻秋生責任編集『天変地異と病』

引き続き電車読書の備忘。当初はスルーしたのだが、非常勤先の図書館で立ち読みして改めて購入すべきと考えたもの。講義でも貞観地震は取りあげているが、復興状況も含めた最新成果のとりまとめは大変有益。神国思想で理解していたが、移住させた新羅人が瓦…

承天閣美術館「頂相」

本日の中百舌鳥1限終了後に、出町柳から歩いて観覧。電車用の上着ではさすがに汗はかいたが、まだ夏の日差しではなかった。HPで確認したお目当てはⅡ期の太清宗謂のご尊顔だったのだが、なぜか一山派のところに入っていない。改めて展示目録を確認すると、Ⅰ期…

麻田雅文『日ソ戦争』

本日は枚方3コマ。予想ほどではなかったが、大雨で自転車を断念したため遠回りをすることに。そんな中で読みさしの表題書を読了。第二次大戦末期のソ連の対日参戦について、主にソ連側の史料を用いながら満洲・北朝鮮・南樺太・千島における戦争の全体像を描…

天野忠幸編著『摂津・河内・和泉の戦国史』

本日は中百舌鳥1限、今年も阪急蒸し風呂・地下鉄冷凍庫の季節がやってきた。ここまで両極端だと本当に服装に困るところ。電車読書のほうは昨日電車遅延の影響もあって表題書を読了。第一部の応仁・文明の乱後から大坂の陣までの政治史、第二部の宗教勢力・都…

森林環境税

昨年度から収入が激減してしまい、唯一の楽しみは納税額が減ること。しかも定額減税のため住民税の所得割はゼロに。ところが均等割に加えて森林環境税が出現。消費税も含めて日本の税制はほぼ人頭税化していることを実感。

山上雅弘『発掘探訪!兵庫の中世城館』

本日は近所のシニアコース1コマ。ただ出かける前に少し時間があったので読みさしの表題書を読了。第1章城館・居館の類型、第2章中世城館と城館考古学 第3章南北朝時代~室町時代前半の城館 第4章拠点城郭 第5章山城 第6章居館 第7章陣城の発掘調査 で構成…

夫馬進『訟師の中国史』

本日の千里山往復で、ほぼ読みさしを読了。宣伝文句につられて、衝動買いしていたもの。中国儒教理念のもとでは、皇帝、その代理の地方官は「民の父母」であるから、些細な争いでも聞き入れるべきという「民父母裁判理念」が存在した。しかし経済社会が発展…

「関心領域」

来週は火曜日が調整休講になるので、止まっていた自治体史原稿書きの予定。ということで、上映時間のタイミングが良い今のうちに評判の映画を鑑賞。いつも通り、事前の予備知識はアウシュビッツ収容所の隣で日常生活を営むヘス一家というだけで、一番後列の…

禹宗杬・沼尻晃伸『<一人前>と戦後社会』

本日は枚方3コマ。阪急運休・道路渋滞ということで、大雨にもかかわらず駅まで自転車を利用する羽目になり、いろいろワヤワヤだったが何とか帰宅。タイトルに惹かれて衝動買いしていた電車読書の備忘を残しておく。日本においてひとびとが「自己主張」する際…

出口顕『声と文字の人類学』

本日は某出張。同一ホテルに宿泊と思っていたら、一人だけ取り残され、連絡もなしのつぶて。相変わらずの情けない人生・・・。そういうわけで、行きがけの読書の備忘を片付けておく。先日書店でタイトルに惹かれ、衝動買いしてしまっていたもの。文字(書証性・…

池上俊一『魔女狩りのヨーロッパ史』

本日中百舌鳥1限の往復で読みさしを読了。ヨーロッパ全域における魔女狩りの全体像を総括したもので、キリスト教神学・悪魔学による「魔女妄想」の成立、「神への大逆罪」として拷問が許された裁判制度、16世紀の商業革命による共同体秩序のゆらぎで呪術に通…

越智敏之『増補魚で始まる世界史』

本日は千里山、ということで久しぶりに電車読書の備忘。財政難もあって積ん読が減っていた際に衝動買いしてしまったもの(先週買い込んでしまったので今は6冊)。ユダヤ教・初期キリスト教においてシンボルに位置づけられた魚、断食日に許された魚食、オラン…

「非常勤の声」76

こちらをご参照ください。当方の執筆原稿もあります。 http://www.hijokin.org/doc/koe76.pdf

樋口健太郎『藤原頼長・師長』

引き続き電車読書の備忘。渡辺津を大阪市中央区淀屋橋付近(91頁、通常は北浜)・桂川左岸の道を描いた地図(95頁)など地理的関心は全くお持ちではなさそうだが、古記録の丁寧な読み込みによって描かれた忠実と頼長の相違など、政治史関係の記述は大変興味…

兵庫県立歴史博物館「新史料発見 三木合戦と羽柴秀吉」

本日、午後から自治体史の会議の前に、少し足を伸ばして観覧。新紹介された文書(当方は、ようやく先日収録書を注文したところ)34通のうち、完全版9通と写真2点が展示、その他にも館蔵の文書、絵画資料など。完全版と記したのは、折紙書状をそのままではな…

京都文化博物館「松尾大社展」

本日の中百舌鳥の帰路に観覧(といっても梅田まで戻っているのだが)。まず目についたのが、福田美術館蔵「洛外図屏風」。説明は17世紀とあり、「洛中洛外図屏風」で大堰川に橋がないパターンは17世紀初めから半ばぐらいまでなので、その時期のものと思われ…

田原史起『中国農村の現在』

GWは絶不調のまま本日から通常業務、久しぶりの3コマで喉はヘロヘロ。久しぶりの電車読書はタイトルに惹かれ以前に購入していたもの。すでに各所で話題になっているようだが、社会学者によるフィールド調査の非常に面白い作品。「木の根っこ」に例えられるよ…