wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

西播磨文化講座委員会編『西播磨の城』

本日はルーティン姫路。有休を消化しなければならないが、紀要編集用務のためパッと休むわけにもゆかず、しばらくは朝1時間休暇をとることに。7時起きということになると、そう爆睡ばかりしているわけではなく、電車読書の備忘。ただしネットを検索してもヒットしない非売品(いただきもの)のため、著者(もともとの所属、旧はたつの市に合併)と論考名を以下に列挙しておく。岸本道昭(旧龍野市)「弥生時代に城はあったか」、義則敏彦(旧新宮町)「城山城と香山城」、新宮義哲(旧揖保川町)「揖保川下流域の梶山城と肥塚氏」、田路正幸(宍粟市)「宍粟北部の中世在地領主と城館ー安積氏・田路氏・中村氏の動向」、田村三千夫(太子町)「楯岩城のはなし」、島田拓(上郡町)「赤松氏の出自について」。全国区といえるのは城山城ぐらいで、地元教育委員会担当者ならではのもの。

菊池良生『ドイツ誕生』

本日は枚方定期試験。これで今期の非常勤でのお出かけはおしまい、あとは採点と追試のみ。電車読書の備忘はこれまたなぜか衝動買いしていた表題書。副題は神聖ローマ帝国初代皇帝オットー一世とあるように、その生涯をたどりタイトルに迫ったもの。ハンガリー軍への勝利が東フランクというまとまりを結束させたこと、イタリア遠征が「ドイツ人」意識を醸成させたこと、その一方で従軍の対価として諸侯に国王大権を与え、世俗領主を賢盛するために司教領に特権を与えたことで、「三百諸侯」が割拠する体制になったという。オットーのイタリア遠征の意図は帝権を確立するためのものであったが、結果的にまとまりと分裂というドイツのその後を規定したとするもの。趣旨はわからないではないのだが、途中で著者が示唆した西フランク(フランス)との関係は展開されておらず(ロートリンゲン大公領はマージナルな空間ではないのか)、それだけでドイツ人意識が継続するのかは疑問。また年代記によりひたすら抗争の繰り返しが叙述され、もともと苦手な上にそもそも背景説明がどこまで正確かもはっきりせずモヤモヤするところ。

『ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世』(菊池 良生):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部

須田努・清水克行『現代を生きる日本史』

本日はルーティン姫路。終了間際にいろいろあって定時に帰れなかったが、JRは遅れで間引き運転。何とか座れたので、結果オーライというところか(京阪神間が維持されていると、遅れているのをごまかせるため、姫路行きを西明石発着に変更するのが最近の仕草。この馬鹿にされた感も気に障るが、それもあと二ヶ月の命)。火曜日が試験前休みになるなど、外出機会が減っているため、久しぶりの電車読書の備忘。すでに来年度の通告は受けていたのだが、何となく衝動買いしていたもの。同じ大学の文学部でないそれぞれ別の学部に属する二人が教養日本史テキストとしてまとめ2014年に刊行した原著を、増補改訂したもの。前半は習俗史を中心に近世初期まで、後半は暴力論を軸に現代まで、特徴的なトピックを取りあげたものだが、後半のほうが全体状況の概説が加えられている(二人の並びはなぜか五十音順でも執筆順でもない)。おかげで当方の専門に近い前半のほうが、茶寄合の民俗行事など新たに知る事実が多かったので、善し悪しというところ。なお二人で同じ授業を分担して担当しているのかは明記されておらず、一人でこのテキストを使うのもしんどいようには思える。

現代を生きる日本史 - 岩波書店

小林登志子『古代オリエント全史』

本日は岡本2コマ、これで秋の講義は全て終了。ただバタバタしていて電車読書の備忘を簡単に。最初のカラー図版に惹かれたのか、何となく衝動買いしてしまっていたもの。メソポタミア・シリア・アナトリア・エジプト・イランについて、イスラーム以前の4000年を一冊にまとめたもの。とはいえさすがに無理があり、ひたすら政権交代の歴史が繰り返され、固有名詞ばかりで、なかなか頭に入ってこないきらいがある。その一方で、図版は豊富でいくつかは講義でも利用可能で、この手の新書には珍しく大部の索引があり、辞書的なものとしては実用的。著者のお名前だけは存じ上げていたが、あとがきによると、非常勤生活を続け解雇経験もあるとのこと。こちらも仕事もないので新書でも書きたいところなのだが、どこか紹介してくれるところはないだろうか。今年度で講義が終わる「鉄と日本刀の中世史」などはどうでしょうか。

古代オリエント全史 -小林登志子 著|新書|中央公論新社

 

「ペルシャレッスン」

レポートの採点など色々残っているのだが、ちょっと気力が切れたので、久しぶりに近所で映画鑑賞。フランスでナチス親衛隊に捕らえられたユダヤ人がペルシア人だと言い逃れをしたところ、戦後はテヘランで料理店を開きたいと考えているナチスの一時収容所の料理担当将校の希望で、偽ペルシア語を教えるのだが・・・、というストーリー。実話というより全体としては創作のようで、語学を教えるのに最初は単語ではなく挨拶だろうという無理はある。ただ収容所のディテールはちゃんと考証されているようで、収容所内のドイツ人の人間関係、優遇された主人公以外は絶滅収容所に送られるという葛藤など、映画的にはよくできているもの。なおラストを際立たせるためとはいえ、最初にラスト前の映像が使われ主人公が何れにせよ助かることがわかるのはどうかと思う。

11.11 Fri.公開 映画『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』公式サイト

鈴木大拙『新訳完全版禅と日本文化』

本日は図書館で紀要原稿のための文献確認、最後なのでデータを出してしまおうと思っているが、そうなると色々再確認が必要になる。そういうわけで、年末から抱えていた電車読書をようやく読了。不勉強で名前を知っているだけで全く触れていなかったが、新刊で刊行されたため衝動買いしていたもの(その段階では本年で終わるとは思っていなかったが・・・)。武士道・俳句・茶道などが禅による日本文化として描かれるのだが、近世のある段階で体系化された際に、禅的な思考を借りざるをえなかっただけで、それがもともとの禅なのかもはっきりしないし、国学的な思考もかなり入り込んでいる。聖書などの引用も含め著者の知識は該博で、原著は英語なため世界的にも読まれているとのことだが、なんだかなあという感じ。

「禅と日本文化 新訳完全版」 鈴木 大拙[角川ソフィア文庫] - KADOKAWA

近況報告

外仕事は4日から始まっているが、3連休は原稿書きとリモート会議、電車読書は690頁の半分ということもあり、近況報告。親切な皆様方のおかげで少しだけコマをいただきましたが、まだまだ募集中です。