いただきものを、本日ようやく読了。2013年刊行の旧版(不勉強で当方は全く接していない)に、コラム史料の読み方、荘園絵図およびDBに関わる付論を加えたものという。研究状況は気候データを組み込んだもの以外は、旧版刊行までに当方と同世代の方々によって出そろった感があり、それが概論として示されている。執筆者はお一人を除いて当方より下の世代の方で、それをまとめたというもの。最後に戦前から00年代までの52冊が「荘園史の名著」として取りあげられているが、いかんせん分量が少なく研究史を辿るものにはなっていない。そういえば昨日の学会では、「この分野を牽引してこられた」50代の研究者が最後に指名されていた。多くの分野で「通説」はそういう状況になっており、史料アクセス状況でも格段の差があるそれ以前の研究は省みられることすらなくなってしまった(本日、図書館で目をとおしたものは3月に退官された方が戦前以来の研究史を評価されていたが)。そうした「通説」を作り上げることもできなかった当方などは、どこにも位置づけてもらえない存在。やはり無理してでも著書は仕上げておくべきか。