wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

京都博物館3題

京都国立博物館河内長野の霊地 観心寺金剛寺

高校生まで育った街、ということで観ておこうと思った次第。客はコロナ以前の常設展よりガラガラで、じっくり鑑賞できた。ただチケット屋にも前売り券は流れておらず、宣伝にも力を入れていなかったよう。元慶の「資財帳」は上に3本・下1本の罫線と別に中央にも罫線あり(不勉強ではじめて観る形式)。国宝「『延喜式神名帳」は朱により校合がされ、振り仮名の「七」は「ナ」にわざわざ書き換えられるなど特徴的。金剛寺禅恵の聖教が観られたのはよかったのだが、「秘密舎利式」は裏に聖教が見え「南帝」という注記などから原本とみなしてよいのか疑問。南朝がらみでは正成文書があり、「左衛門尉」は誰からもらったのだろうか。奉納された腹巻20領、大山巌東郷平八郎筆なども興味深い。また秀頼の寺社再建事業で観心寺金堂棟札はよく観る形式だったが、金剛寺金堂は片桐且元書状のような不思議なもの。なお久安六年銘の瓦で干支「庚午」を「午」とのみ読み「广」を見落としていたのはいかがなものか。

京都府立京都学・歴彩館「あやしい・・京都」

バスで府立大学前まで移動。祇園まではかなり渋滞しており、路駐がそれを増幅していた。こちらは文献コピーが目的で、昨日知った科研報告書の「筒井寛聖氏所蔵東大寺文書」(筒井寛秀氏所蔵文書の誤り)にいろいろ興味深いものあり。展示は祭祀系の考古遺物・牛王宝印の民俗行事・酒呑童子関連など。なぜか南丹市日吉町郷土資料館蔵の「アユノモチオケ」・巨椋池で用いられていた「デンチ網」も混ざっていた。無料の展示解説集が配付。

相国寺承天閣美術館武家政権の軌跡」

こちらは某Twitter情報で知ったもの。義満・義政などの肖像、夢窓疎石以下オールスターキャストの頂相・墨跡、永楽帝勅書・朱印船の朱印状、東山御物に含まれる美術品など優品のオンパレード。さらには義嗣の肖像(初公開とされるが、まつる塔頭があってそんなものがあるのも初めて知った)、「相国寺供養記」原本(抹消・書き込みなどがチラホラ)大徳院領地文書7通など掘り出し物も多数。最後の二つは掲載されていないがパンフレットも頒布。軸物は箱が添えられているのも有益。

校正が届くのが遅れており、何となくだらけてしまっているが、これで息抜きは終わり(逆に9月がワヤ)。明日からはちゃんと仕事。

*なおいつもリンクを貼っているが、本日はなぜか反応してくれないので略。