wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

中島圭一編『日本の中世貨幣と東アジア』

本日は本年最後のルーティン姫路。とあるところに手を回していただきとりあえず大学Ⅰコマ増えた(まだまだ募集中です)。相変わらず行き帰りとも爆睡しているが、水曜日に空き時間があったこともあり、割引で購入していた表題書を読了。貨幣・手形に関して、中世前期から近世初期までの14の論考からなり、この分野の最新の知見が知られる。不勉強だったが、琉球の重要性(15世紀には日本へ銭を輸出していた)、東ユーラシアレベルでの比較(各地の出土銭種比がほぼ一致する一方で、大銭が装飾品となるのは北方のみ)、戦国期の地名為替から山田羽書への展開に関する伊勢御師の活動をもとにした精緻な研究など、いろいろ勉強になった。ただ科研グルーブ内にもかなり見解の差はあるようにみえる。また経済学研究者は割符を「貨幣的文書」と理解しているようだが、伊勢御師という確かな媒介者がいる戦国期の状況をみても違和感。座・問丸などを抜きにやはり考えられないと思う。

日本の中世貨幣と東アジア [978-4-585-32519-2] - 3,520円 : Zen Cart [日本語版] : The Art of E-commerce