wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

奈良国立博物館「春日大社若宮国宝展」

先日たまたま知り、淀について報告することになったため、春日関係の写真帳を図書情報館に見に行かないといけないと思っていたこともあって本日観覧。圧巻は春日若宮大般若経厨子で、寛元元年十月に尼浄阿が600巻を書写して奉納し、あわせて所領を寄進したことが厨子に白墨で記されている。そこから浄阿は藤原季行娘六条局の姪で、宜秋門院・春華門院女房で大和に所領を有し、奈良にも屋地をもっていたことがわかり、経巻にも関係者の名前が記され興味深い。また若宮神宝の一つである毛抜形太刀には笹をバックに雀を捕まえる猫の絵が描かれており、義経所用という由緒を持つ赤糸威大鎧にも同様の図柄がある。後者は「竹虎雀飾」と出品目録にあるが、縞模様ではないので猫とすべきだろう。なお特展としては小ぶりのため新館でも名品展が行われていたが、海住山寺所蔵の釈迦三尊十六羅漢像が建武五年二月に開眼供養がおこなわれ摂津国難波村新別所に奉納されたという驚きの情報(3月に天王寺・安部野合戦)。さらに仏像館で特別公開されている巨大な金剛力士立像は延元四年と明記されている。この時期に吉野でこんなものをつくるというのも驚き。県庁前から図書情報館行きの1時間に1本のバスの時間にあわせるためタイトだったがいろいろ勉強になった(史料閲覧は「河上五ヶ関」1点でピンポイントはなかったが兵庫関連をひたすら入力し、こちらも成果)

春日大社 若宮国宝展 | 奈良国立博物館 

明日リモートの自治体史会議で本年のスケジュールは終了。こちらの更新も新年のご挨拶からということで、皆様よいお年をお迎えください。