昨日バタバタしていて記せなかった電車読書の備忘。論理的思考が世界共通で不変であるという考え方に対して、論理には文化的側面があるという書。まず論理的思考そのものに、演繹的操作による真理を証明する論理学、一般大衆の説得を目的としたレトリック、物理的真理を探究する科学、形而上学的真理を探究する哲学があり、それぞれの相違を説明。その上で、文化的側面として、効率性と目的の達成をめざすアメリカ型(経済領域)、公共の利益を追求するフランス型(政治領域)、真理の保持と規範の遵守を目的とするイラン型(法技術領域)、共感と哀れみという道徳的感情の涵養をめざす日本型(社会領域)があり、初等教育からの教育システムにもそれが組み込まれており、他の領域からみると非論理的にみえるが、そもそも目指すものが異なるためだという。もともと著者がアメリカの大学院で小論文を評点不可能とされた経験によるとのことで、とかく「お気持ち」とされる日本型も、利他主義を組み込んだ共感は、多元的な社会の構築にはむしろ必要で、それぞれの性格を理解して使い分けることこそが重要だとする。初等教育からのシステムに踏み込んだ文化比較論で、欧米だけでなくイラン型を抽出した点は興味深い。またその思考法ゆえに、アメリカでは結論に都合の良い材料だけ集めた政策による失敗例が多数あるというのも納得できるもの。ただ綴り方教育以来という日本型の内実はもう少し深める必要があるようにみえた。