wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大津市歴史博物館三題

続いてJR大津京から徒歩で表題所に向かう。なぜかスマホQRコードを撮影すると団体利用金に割引。館の前で20代後半の男女3人組とすれ違い、どこかでお見かけした記憶もあるが思い出せず。館内は中年夫婦が数組、70前後の夫婦とともに来ていた娘らしき人は信長まわりにそこそこ詳しそうな会話。常設展の一階部分を改装して「明智光秀と戦国時代の大津」を開催。もともと堅田の居初家文書をはじめ所蔵(寄託)文書群が多数あり、見所多しも図録は簡単なものだけ。館内だけでは大変なのは理解するが、何らかの形で全体の写真・釈文を公開してほしいところ。またミニ企画展「明智光秀と在地土豪」として光秀に関わるものが展示され、こちらは解説・解読文シートあり。ただもっとも読みにくい「和邇庄安養坊等連署置文」(ほぼ平仮名の地下文書)と、新聞発表されていた光秀の母にまつわる仏画墨書は釈文なし。さらに本日まで開催されていたのが「金台院蔵『天台三祖師像』と天台の祖師」。こちらは南宋作で西教寺蔵が重文指定記念にもかかわらずこれだけなら無料。しかも園城寺に所蔵されている中近世の祖師像もあわせて展示されるというすごい企画。これまた眼福。エントランスで確認すると、昨年実施された『湖都大津のこもんじょ学』図録が販売。こちらは葛川・園城寺石山寺からはじまり多数の中世文書・木札などが掲載された優れもの。寛永19年の葛川文書に木印署判が並ぶのも大発見。なお先ほどの置文もあるが、後半の写真がなく釈文も付けられていないのは残念。JR大津まで暑い中歩き、しかも「南改札」というニセの案内標識に騙され、アイスを車内で食べる羽目になったが、行ったかいはあったというもの。

大津市歴史博物館 Otsu City Museum of History