wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

角田徳幸『たたら製鉄の歴史』

本日は枚方3コマ、明日の中百舌鳥からは試験となるので春の講義はこれで終了。そんななかで電車読書の備忘。業務の関係で何度かお目にかかっている、考古学をベースとした当該分野の第一人者の著作https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b450623.html。古代以来の製鉄遺跡の遺構分析からたたら製鉄の諸要素の成立過程を明らかにし、そのうえで文献史料が豊富な近世たたらについて、その生産方式・たたら場の構造・金子屋信仰に触れ、流通の利便をはかった海のたたらと、山砂鉄の採取を重視した山のたたらを紹介、さらに幕末以降の鉄生産とたたらの盛衰と最後まで生き残った特殊鋼と軍刀用の靖国たたらに触れた上で、東アジアの主流である鉄鉱石利用を周辺で展開した砂鉄利用が独特な技術発展したのがたたら製鉄であると締めくくられる。単著『たたら吹製鉄の成立と展開』をベースにしながら、その全史をわかりやすい文章で叙述されており格好な入門書。ただ当方もかかわった本年三月刊行の紀要で、著者が主張する銑鉄のための銑押しから鋼をも産出する鉧押しが展開したという山陰モデルに対して、播磨では鉧押しが先行した可能性を提起した点に触れられなかった点は残念、八月にお目にかかる機会があるのでご意見をうかがいたいところ。そのため分類も読書(日本中世)にした次第。新居のほうはせっかく決断したらすでに買い手が入ったとの応答、今のところ第二候補になりそうだが、こちらも土曜日まで持つのだろうか。同一物件をいくつもの業者が販売を共有しているらしく、夜の周辺散策なしに一見で決めるのは余りにも危険でなかなか難しいところ…。