少し前になるが、新聞の紹介記事をあげておく。なおこのシリーズは他の巻のいくつかもご著者からいただいており、厚く御礼申し上げます。
内容についてはいろいろ勉強させていただくことが多くここでとやかくいうことはないのだが、紹介の最後に触れた点だけ補足。シリーズは『京都の中世史』と題するが、中世都市京都を舞台にした政治史・文化史で、都市史については考古学から出発した研究者に丸投げするという方針らしい。ただ都市住民と都市支配について文献史学からの論述がないのはやはり問題だと思う。第1巻でいうと京職・検非違使は全く出てこないし、都市を強調する第4巻でも侍所の京都支配の実態は語られず、第5巻になってようやく町共同体・非人が出てくる程度。「都市依存型」などといいながら実態をなおざりにしているから、今度の『日本史研究』のように本末転倒な議論が登場する体たらく。確かに先行研究は著しく乏しいが、いわゆる京都学ならまだしも、どうしてそれ抜きに京都が語れると思うのだろうか。