wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

須田努『幕末社会』

本日は振替姫路。届を出してから紀要を受け渡しがズレたのだが、再度申請するのもややこしいのでそのまま出勤。ただ来週改修工事のため引っ越しがあり、業務関係の荷造りは共同でできた。ダイヤ改編前の朝の新快速(今週末からの改変で30分遅く寝られる便がなくなり、10分早い山電のほうが座れるだけましになる)で、電車読書の読みさしを片付ける。ポイント切れが近づいていたため現物をみることなくネット書店で購入していたもの。政治史の叙述は最低限に抑えられ、政治理念としての仁政と武威が、身分制社会の既得権益化が若者にとって希望の見えない格差社会となって無宿渡世が増加し、関東の錯綜した所領配置がそれを取り締まることができず、対外的危機とともに次第に秩序が崩壊する過程を描いたもの。博徒尊皇攘夷・剣術・蘭学・平田派国学などさまざまな社会的ネットワークが、そうした亀裂を大きくしていく動きは興味深く、タイトルだけ見ていた諸研究のエッセンスがようやく理解できた。ただ関東の治安悪化と畿内との相違が強調され、畿内では国訴のような下からの積み上げのイメージが強いが、若者のおかれた位置も異なっていたのかは気になるところ。なお本文中にカッコで史料名が記され、巻末にはその出典が並べられている。番号は付されていないがほぼ註に匹敵するもので、岩波新書としては異例か。幕末社会 - 岩波書店 

姫路で蔵書を確認していた図書館が来週半ばまで休館することに気づく。自治体史の締切が近づいているなか大変痛い。引っ越し前は自転車で大学図書館に行けたのだが・・・。