wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

岩崎育夫『近代アジアの啓蒙思想家』

本日は公務出張で歩きづめ。日差しはきつくなかったが、山登りもあり替えのTシャツもビショビショに。例によって詳細は記さないが、立ち寄った博物館展示はなかなかのもの書写の里・美術工芸館|夏休み子どもミュージアム。ここでは読了した電車読書の備忘のみ記す。秋の講義(リモート・対面が混じりそうで、JABEEのつじつま合わせが悩ましいところ)のこともあって衝動買いしていたもの。日本(福沢諭吉)、中国(陳独秀胡適)、インドネシア(カルティニ・ハッタ)、インド(ネルー・ガンディー)、朝鮮(朴泳孝など)・ベトナムファン・ボイ・チャウなど)・タイ(チャラコンロンなど)・シンガポール(リム・ブーンケンなど)・トルコ(ムスタファ・ケマル)といった19世紀後半から20世紀前半のアジアの啓蒙思想家を取り上げ、儒教イスラームカーストなどかれらが対峙した伝統思想との関係、近代思想をうちたてるとともに植民地大国でも会った西欧への意識、最初を走り影響を与える一方で欧米に倣った帝国主義的ふるまいを実践した日本のポジション、その後の共産主義の受容や建国の特質などを整理。北部ベトナムを「グエン国」と表記するのはどうかと思うが、インドネシアオランダ語を習得し手紙が公刊されたことで25歳で死去したにもかかわらず大きな反響を得たカルティニなど東南アジアは知識不足だったため有益。講義資料の写真の差し替えもできそう。

『近代アジアの啓蒙思想家』(岩崎 育夫):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部