本日はルーティン姫路。いろいろ手違いもあったが紀要7号を入稿。久しぶりに乗った朝のJRは減ったとはいえやはり明石までは座れず、衝動買いしていた表題書を読了。江戸時代の文字文化・出版の普及によって、初学者による意味を理解しない漢文素読によるテキストの身体化があったとし、文字による著述と語りから山崎闇斎・伊藤仁斎・荻生徂徠・貝原益軒・石田梅岩・本居宣長・平田篤胤の思想を論じたもの。漢文素読が普及するのは寛政以降で近代につながるという当方も講義で前提としている研究を無視しており、近世前半でそこまで文字文化が普及していたとするのはどうかと思うが、文字と声が思想形成にどのような役割を果たし、またどのようにそれを伝えようとしていたのか(出版の本居と講演録の平田)というのは興味深くいろいろ勉強になった。その一方で前代から引き継がれる素読による漢文教養(中江兆民あたりが最後)から黙読による近代教養主義になったという知識人論とは別に、小学校教育での九九など身体に教え込む手法の存続も教育史としては重要に感じた。
今週はなんと5冊も本をいただいた。皆々様には厚く御礼申し上げます。