wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

木津

昨日でようやく初稿を仕上げたということもあり、今朝は久しぶりに早起きして朝食をすませて木津へ(普通に人様の起きる時間なのだが・・・)。地下鉄のホームで近所に住む同業者にもかかわらず半年ぶりぐらいにF氏に偶然出会うが、とりあえず元気そう。仕事のほうは相変わらずはっきりしない状態のようだが。JR奈良でいったん改札を出て切符を買い直し(直通で買うより110円安いというせこい理由)、9:30ごろに木津駅に到着。案内者の車に乗せてもらい鹿背山城に向かう。南山城最大の中世城郭ということで、非常に立派な竪堀があり、郭の規模も大きい。ただし説明によると15世紀末段階のほうがだらだらと大きく(主郭などからは瓦も出土しているようだ)、松永久秀段階に逆に狭くなるとともに防御性が高まるという。定期的に行われている発掘調査現場もみせてもらうが、その場所では古い段階の土器が多数出土しているという。規模が大きいため全ては回れなかったが、縄張り図を検証するほどの能力を持っていない身にとっては、ちょうどいいぐらいだったともいえる。ただし花粉症対策のマスクで山を登ると、息が乱れすぐに眼鏡が曇ってしまうのには閉口した。昼食難民のあげくにスーパーで買うことになり、それを食べてから案内者により木津に関するレクチャーを受ける。全く専門の歴史研究の手ほどきを受けずに会社員として過ごし今は定年退職されているということだが、若い時から独学で調べておられるということで、時々どうかと思うところがある一方で感心させられる部分も少なくない。その後に木津の町を歩くが、レクチャーを受けたこともあって以前一人で歩いた時には気づかなかった発見が多数ある。直線道が微妙にずれる街路の複雑さと、高低差がよく実感でき勉強になった。もともとあった個別にあった集落が戦国期ぐらいにつながったという典型的な中世都市で、誰か歴史地理の研究者にしっかりやってほしいところ。また以前に訪れた際にたどりつけなかった木津惣墓五輪塔も見学することができ、有意義な時間になった。最後にお約束のように雨(あられ)に降られたのは愛嬌というところか。写真は待望の五輪塔
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