wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(お仕事募集中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

小島道裕『「史料学」講義』

採点は高知で終了だが、組合がらみで昨日・明日はお出かけ。2冊持っていくのも面倒なので、残った読みさしを片づけておく。何度も取りあげているように、そもそも系の著作は確認したくなるのだが、これは日本中世史研究者の手によるものということで、昨冬の割引販売で購入していたもの。2022年前期に150名を対象にした同名の講義をもとに執筆したという。最初の3回が「史料」とは何だろう?と題した総括的な議論、続く4回が洛中洛外図屏風を素材にした絵画史料論、続いて主に様式論からみた文字史料4回、フィールド史料として制札・帳簿・荘園文書で1回、地図・地籍図・水利で1回、考古学と民俗学で1回、最後に史料をもとにした歴史像とした総括で、各回には補論が挿入される。著者のこれまでの研究成果をもとにしたもので、絵画史料が多すぎる気もするが、中世史研究における史料類型は網羅されており、それぞれの説明もわかりやすい。ただ著者の勤務していた国立歴史民俗博物館が政治史を扱わずに「生活史」を常設展示とし「国の歴史」を避けたのは、もともと近代史がなかったように、政治との軋轢を避けたという面も否めないだろう。なお当方の概説系講義も導入は史料学として、発掘調査から公文書館までの通史を扱っている。

「史料学」講義 - 株式会社 吉川弘文館 歴史学を中心とする、人文図書の出版