wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

生駒孝臣『楠木正成・正行・正儀 南北朝三代の戦い』

諸事情あって、読みさしの残りを片付けておく。この分野の第一人者による概説で、全体像を通覧するには最適。とりわけ後半部分の地域史部分は、当方が見落としていた城郭史の最新知見を組み込んだもので有益。その一方で前半の政治史はこの分量に押し込むのはやはり窮屈の感あり。なお大覚寺文書に登場する長洲荘沙汰人の範資・貞範を赤松氏とみる見解は、市沢哲「一四世紀の内乱と赤松氏の台頭」(『大手前大学史学研究所紀要』12、2017年)で否定されており、そちらが妥当。

『楠木正成・正行・正儀 南北朝三代の戦い』(生駒 孝臣):星海社新書|講談社BOOK倶楽部