wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

橋本久和『概論 瓦器椀研究と中世社会』

本日は朝一で白鷺の初講義、受け入れ先の教員と雑談の後、相続・病院で介護認定など。治療が間もなく終わるらしく、次の用意が必要に。今週から講義もはじまり、金曜日から連続して電車読書を続けていることもあって表題書を読了。11世紀から14世紀にかけて畿内で生産されていた瓦器椀(楠葉型・和泉型・大和型・丹波型に細分)研究をリードしてきた著者が、現段階での知見を、第一章「瓦器椀の研究」・第二章「瓦器椀研究と備前南部」・第三章「流通拠点と地域間交流」・第四章「九州の流通拠点」・第五章「淀川・木津川河床遺跡の研究」・第六章「瓦器椀研究と地域社会」というように、体系的にまとめたもの。構成からわかるように、瓦器椀(初期の楠葉型、12世紀後半以後の和泉型)が、国衙・流通拠点などのみから出土することを明らかにし、そこから石清水神人・廻船鋳物師などの活動を想定したもの。北は平泉から、南は持躰松まで、その分布は鮮やかで、文献史からのリプライも不可欠なものになるだろう(当然、異論はある)。なお同書は私家版のため、リンク先は古書店https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=182102115。それにしても夜になると咳が出る。医者に行き薬は飲んでいるのだが…。