wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

渡邉泉『会計学の誕生ー複式簿記が変えた世界』

本日は六甲台、PC関係はようやくトラブルなく進めたのだが、第三クォーターより…、環境史は工学部主体にはしんどかったか。相変わらず自転車操業が続くが、電車読書の備忘を簡単に。副題に釣られ、火曜日の講義の足しにでもなるかと思い衝動買いしてしまったものhttps://www.iwanami.co.jp/book/b325117.html。15世紀イタリア・17世紀オランダ・19世紀イギリスと最先端をはしる地域から成立する経営体の会計帳簿の技法の発展過程をたどり、21世紀アメリカで基準が純利益から包括利益へと転換したことでおこった問題点を指摘し、会計の根本に立ち返ることを提起したもの。何となく流れはわかるのだが、帳簿の具体例が乏しく専門用語の意味をちゃんと理解することができなかった。何度も反省例として取り上げられる南海泡沫事件についても、具体的な説明はなく(いちおう川北稔「砂糖の歴史」で記憶にはあったが)、全体に不親切。また最初の会計帳簿として説明されているのは、保証人と利子の記された売券の写しとしか思えなかったのだが、どうすごいのかが全く分からなかった。そういえばフランス会計史の専門家が、東寺百合文書を扱っているようで、本書では触れられていなかったがどのような評価になっているのだろうか。