wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

小田中直樹『ライブ・経済史入門』

本日はルーティン姫路。外では終日駐車場待ちの車の列が続いていたが、事務室は半数休みの休日モードで非常に静穏。花粉症に苦しみながら漢詩文と格闘を続けるも、相変わらず全体像が見通せない…。電車読書のほうは著者ブログに惹かれ衝動買いしてしまった表題書http://www.keisoshobo.co.jp/book/b280721.html。狩猟採集経済・農耕革命・ファミリービジネス・資本主義・小作制度と問屋制度・産業革命・企業の経済モデルを座標軸のあるグラフを用いて解説しながら、その歴史的展開を辿るとともに、主要文献を紹介するという、著者の一回生向け経済史の講義ノートをもとしにしたもの。最初の狩猟採集経済から農耕革命への展開については、以前紹介した気候の未来予測性の変化のほうか説得性があると感じ、数式もほとんど理解できなかったにせよ、それ以外についてはそれなりに腑に落ちた気がする。近年経済史寄りの関心を持ちつつその分野には全く疎く、経済学の存在意義すらよく理解できておらず、待遇で海外の大学に行くような研究者が日本にいても政府系委員になるだけだとしか思っていない。それでも経済学と歴史学を架橋するという副題に沿って、基本的なセオリーを学ぶのは有益なことなのだろう。それにしても著者は『歴史学って何だ』以来、入門書を書く能力は卓越していると思う。もっとも経済学で博士号をとり、大学院で社会思想史を担当しながら、歴史学方法論まで執筆しており、そもそもマルチな才能を有した方だからこそで、当方と比べるべくもないが、うらやましい限り…。私事では昨日、ついに恐れていた兆しに接した。月曜日に確認することになるが、今後が思いやられる…。