昨日までお出かけ3日間で約10万歩。諸事情で内容には触れないが、お供にした表題書を帰路の最寄り駅直前で読了したので、紹介しておく。宗教の起源を集団での儀礼・祝祭と捉え、人類の起源。狩猟採集民段階でのアニミズム。農耕民と牧畜民による儀礼の体系の成立。諸勢力を統合した国家が政治と経済を一元的に統合する古代文明の成立と対応した多神教。古代文明と解体という動揺のなかで既存宗教の儀礼主義を批判し世俗からの分離を徹底させた世界宗教としてのキリスト教・仏教。聖職者の仲介を排除し純粋な形態を求めた宗教改革が、世界宗教が誕生する以前の古い儀礼の体系を批判したことでむしろ宗教の死を準備し、主権国家体制・資本主義をもたらしたとする。1951年生まれの著者は全共闘に共鳴して紛争後の東大に入学、つまらなくて数年ドロップアウトした後に宗教学に進み、パリの社会科学高等研究院で文化人類学から理論研究という経歴。特に前半のノハリ批判と、儀礼・祝祭から立ち上げる方法論は豊富な事例をもとしたもので興味深く読んだが、後半の歴史研究になると結局ヨーロッパ中心的で、何だかなあというのが率直な感想。