wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

藤田達生『戦国日本の軍事革命』

本日は自治体史の大般若経調査に随行。ひたすら法量のデータ取りだったが、南北朝期の文字を堪能させてもらう。昨日記した事情で火曜日の予備だったもので、本日その残りを読了。昨年もった専任のサバティカルで代行したゼミでもそういう関心があったので、久しぶりに著者のものを購入してみたもの。信長末期に陣立て書・軍法が成立することによって、自立した領主の寄せ集めから統一的な公儀の軍隊に転換するという全体の構図はそんなものかとは思うが、その前に兵器・城郭線などでの行きつ戻りつの構成が非常にわかりにくく、もう少し整理できないものか。また68頁の伊賀・甲賀の方形居館の林立を国人・土豪層の緊張関係と捉えるのと傭兵化がどのようにつながるのかなど、論理的整合性がよくわからない部分もちらほら。なお軍事革命というなら、もとのジェフリー・パーカー説を検証した、久保田正志『日本の軍事革命』(錦正社)にも触れる必要があろう。

戦国日本の軍事革命 -藤田達生 著|新書|中央公論新社