今週は紀要の最終校正および次年度の段取りのため三日連続で姫路。電車は行きは七割、帰りは観光客の激減と相まって半分程度。そんな中で禅宗のこともあり少しは知識を得ておこうと衝動買いしていた表題書をようやく読了。著者は著名な美術史家だが、本書ではむしろ筆墨で紙に表現するという行為そのものから解き明かしたもの。そのため概ねは中国古代から唐・宋、日本での受容という歴史的展開を逐っているとはいえ、事例としては時に現代書家の作品すら紹介しながら論じられており、オーソドックスな美術史からは少し外れたもの。50年前に同媒体で概説書が出ているらしく、それとの差異が意識された結果らしい。いわんとしているところはわかるが、習字が全くの苦手だった身としては体感的に納得できるものではなかった。ただ一幅の絵の中にデフォルメを加えつつ全体を落とし込む表現だということは理解できた。