wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

金時鐘『朝鮮と日本に生きるー済州島から猪飼野へ』

講義は第二週目に突入。本日は全体でみると先週よりやや受講者は減ったようだが、聴覚障害者への配慮が要請されている以外には特に大きな問題はなさそう。問題は金曜3限で先週は仮名簿2名・出席1名だったが、万一不開講になったら大打撃となる。いろいろ問題はあるのだが、とりあえず電車読書の備忘。詩人として名前だけは知っていた著者の自伝を衝動買いしてしまったもの。三.一独立運動に関与したことで旧制中学を放逐されるも、トルストイ全集をもち戦時中も朝鮮服で通した父と異なり、1929年生まれの著者は済州島で皇国少年として過ごし、8月15日にも一人「児嶋高徳」を唄い、ハングルすら読み書きができなかった。それが戦後民族意識に目覚め、朝鮮共産党南朝鮮労働党)に入党して活動するも、四.三事件で命からがら日本に密航し、日本共産党員として吹田事件にも関わり、本人も北朝鮮に強いシンパシーをもっていたにもかかわらず、病気療養中に朝鮮総連から批判を受けたことで、次第に距離を置き、在日朝鮮人として生き日本語で詩を書くことを選んだ半生が綴られている。戦時体制下の学校内での朝鮮語禁止と密告合戦、八月一五日の大転換、四.三事件にいたる済州島情勢の転変とさまざまな非合法活動、密航ルートを含めたネットワークなど、当時の生々しい実態が綴られた時代の証言として興味深い(まだ語れないことが多数あるというが)。そのなかでも戦前の文学活動の重さを考えた時に、戯曲を書いていたという祖父の死の真実(両班出身の大地主・新聞記者、1940年病死と伝えられている)がやはり気になるところhttp://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1502/sin_k813.html統一地方選が終わった。全国情勢とは異なり「オオサカ国」(OS)への道をまっしぐらに突入しているようだ。5月には市民権が剥奪される可能性が高く、亡命するしかないようだが、府内すら危険な気がする。親のこともあるので余計にややこしくなった。