荻野富士夫『特高警察』
土曜日にようやく最初の公募書類を郵送するも、履歴書写真を用意していなかったことに気づきあわてて撮影するなどバタバタ。昨日は長丁場の研究会で消耗し、軽く飲んで帰るつもりがタイミングを失い、自宅に帰るとすでに日が変わる直前。本日の用意などをしているとかえって寝られなくなってしまい、何度も目が覚めたあげくに予定より早起きすることに。幸いにも行き帰りとも阪急でかなり座れたためひたすら爆睡したが、頭はさえず講義もボロボロと、相変わらずさえない日々が続く。電車読書のほうは何も考えずに書店で購入したものだがそれも最悪http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1205/sin_k651.html。戦前日本および植民地の特高警察を概説し、ナチスのゲシュタボとの比較、戦後の公安警察との関係が述べられているが、興味引かれるところがほとんどなかった。警察研究は文献史料の決定的不足という問題を抱えているのはわかるが、統計数値と方針文書ばかりで一つ一つの事件にも全く踏み込むことはない。多数の警察小説が語る現代だけではなく、当時においても警察組織・特高警察などが一枚岩で動いていたとはとうてい思えない。若干示唆されている一般警察と思想検事などとの管轄・予算取りをめぐる矛盾や、特高警察内部の矛盾が展開されることもなく、そもそもトップの方針がどれだけ伝わっていたのか、また戦時期とりわけ都市大空襲以後に厭戦思想を取り締まるといっても、組織や個々の警察官がどれだけ確信を持っていたのか、逆に終戦に反対する動きを監視しろといわれて素直に動いたのか、そういった実態がほとんど見えてこない概説だった。