本日午前は4種類目の試験の前半で受験者14名(最後の1名は30分きっかり経ってからあらわれた)。昨年から二コマ授業の試験日が分離されてしまったためだが、バスの到着時刻がちょうど間に合ったため梅田ガーデンシネマで表題の映画を鑑賞する。まず驚いたのが上映館が今月末で閉館されるということ。とりあえず一階下の映画館が営業を引き継ぐとのことだが、大阪における単館系劇場の凋落は著しい。本作が恐らく現劇場名で観る最後となるもので、ベルリン国際映画祭で賞を取ったとのことだが内容は今一つ(以下ネタばれ)http://www.bitters.co.jp/tetsukuzu/。ボスニアで鉄くず拾いで生業を立てているロマが、妻の高額な手術費用を工面できずという物語なのだが、ナレーションもなく、登場人物も非常に少ないため全体像がつかめなかった。腹痛の妻を病院に連れて行き、流産と言われ産婦人科医への紹介状を書いてもらい、止血措置を受けてから手術に960マルクかかると言われ途方に暮れるのだが、それまでの医療費がどうなっていたのか全く不明。結局は義妹の健康保険証を借りて手術してもらうことになるのだが、単なる通院や保険証の所持者は日本とは異なり無料で受けられるのだろうか。また途中でロマの協会が政府と交渉するも受け入れられない場面があるのだが、これもロマだからだめなのか、そもそも医療補助制度がないのか不明。なお主人公は4年間徴兵され弟が木っ端みじんにされる体験もしながら恩給ももらっていないということだが、徴兵した主体はどこなのかも示されていない。またこういう人たちを食い物にする高利貸しがいるはずなのだが、それも登場せず主人公も必死に金策には知る状況が見えない。手術が成功してから薬代と止められた電気代のため、主人公のボロ車を解体してくず鉄屋で手術費用の十分の一ほどの金を得ており、何か手段があってもよいようなものだが。まあドキュメンタリーではないので、観客に委ねるという手法なのだろうが。なお通貨単位マルクはウィキ情報によると1998年発行で2002年まではドイツマルクと一対一で交換できたと言うことで、当該地域におけるドイツ経済の影響力の大きさがうかがい知れる(車はボルボのようだったが)。それにしてもあの内戦のなかでロマの置かれた地位がどういうものだったか、少しでも想像させてくれるものだった。なお帰りは昨年できたビル街をはじめて通ったが完全に道に迷い、時代遅れになったことを今更ながら痛感させられる。