wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

のぼうの城

前日の続き。鎌倉国宝館を観覧している間にですっかり雨も止んだので、それからは鶴岡八幡宮に寄ってから(こちらもすごい人出)。だらだらと北鎌倉に向かう。中世を専攻していながら鎌倉はまだ三度目で、前回は中世都市研がメインだったため、じっくり見て回るのは大学4年の時に歴研大会出席のため、大垣から「人民列車」に乗って朝5時から回って以来。今回は舗装道路となった巨福を越えて建長寺円覚寺を歩いただけだが、それでも少しは雰囲気を感じることができた。とりわけ円覚寺が今も禅宗同乗で舎利殿を実見できないというのは初めて知ったところ。4時過ぎに北鎌倉駅に着くと宇都宮行きが走っており、何も考えずに乗ったところそのまま池袋駅に直通。やはり東京の電車網はすごいがJRが本を読むのも困難なほど真っ暗にしているとは思わなかった。私鉄やメトロはそうでもなかったのだが。関西では当方の行動半径内のみだが京阪がもっとも暗い。池袋では映画が始まるまで時間が余ったが本屋を見つけることができず、どういうわけか某家電量販店で配布される来年のカレンダーを手に入れて持って帰ることに。どうも本屋の全くない地域を動いていたようだ。映画は事前に調べて単館系に魅力あるものが見あたらなかったため、まあ話題になればと入ったものhttp://nobou-movie.jp/。チケット屋を少し探したが前売りは売り切れで、レディースディーということもあり女性を中心にかなりの客が入っていた。内容は3.11で上映延期になったというだけあって、水攻めの特撮がすごかったが、包囲戦が目的で津波のような状況になったのかはは疑問。城は天守閣がない点で中世城郭の実態をふまえてはいたのだが、土塁などの防御施設が貧弱すぎで、城攻めの側も最初に鉄砲隊は使わないだろう。またれっきとした武士を侍と呼び、兵農分離が完結しているように見える点も違和感。それでも囃子に乗った麦踏み風景(所作は主人公でもある野村萬斎が考案したらしい)、後北条氏の使者が2名で動くところなど、当該期を描いたものとしてそこそこよくできたところもあり、エンディングで舞台となった忍の現在の風景を流し、立てこもった武士たちの名字の地を道路標識などから拾っている点はなかなかのもの。内容もエンターテイメントとしてはそこそこ楽しめるもの。本日は一日東大で史料めくり。いくつかの成果や、撮影された写真のひどさ(ちゃんと撮られていないものがかなりあった)に声を出しては、事務職員に怒られながら3時のサンドイッチのみで一日を過ごし帰路についた。写真は舎利殿のある道場で、読経の声が聞こえていた。30日朝修正。
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