wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「心の傷を癒やすということ」

引っ越して一年以上になるが、ようやく本日近所の映画館で表題作を鑑賞。1000円とはいえ予想外の長蛇の列に驚いたが、観客は10人に満たず、昨年急逝した俳優の遺作も別スクリーンであり若い女性客はそれが目当てか。作品は阪神大震災後に現場で活動した実在の在日韓国人精神科医の物語で、NHKで放送されたものの劇場版。ラスト10分はテレビ版を視聴した記憶はあったが、それ以前は初見。小学校時代に在日であることを知知り、実業界の父、花形の東大原子力工学に進んだ兄との葛藤を抱えながら、「人の心」への関心から偏見の目で見られる精神科医の道を進み、恩師永野良夫(モデルは中井久夫氏)・妻との出会い(映画館で相手から声をかけられたのが最初)を通じて成長し、避難所でPTSDにさいなまれる人々の声を聞き、著書が高く評価されるも、不治のがん告知を受け第三子誕生の二日後に亡くなるまでを描いたもの。震災前の三宮が一瞬模型で登場、避難所は多数のエキストラが参加し、否定的な側面を描き主人公の対応を際立たせていた。そこそこの作品だと感じたが、当然のごとく偶然の出会いはなかった。

映画『心の傷を癒すということ』 公式サイト