wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

この世界の片隅に

本日は職務で現地調査。午前三時間・午後二時間歩いただけでヘロヘロになってしまい、体力の衰えをまたまた感じたが、論文に一行書き足すだけの成果は得ることができた。帰路の電車で爆睡して疲れを取り、水曜サービス・デイを利用して表題の映画を鑑賞http://konosekai.jp/。やたらと人が向かっているのでどうしたものかと思ったが、空中庭園に向かう外国人観光客のようで、映画館のある三階にも旗で誘導される団体客があった。ただ会場のほうも20分前で空席は一割のみで(場合によっては別の作品も念頭においていた)、上映時にはほぼ満席、カップルがチラホラで中年女性四人連れも見かけたが、半数は一人客という印象。原作改変による手厳しい批判も見かけたが(当方は原作未読)、全体として主人公目線からの日常生活の変化はよく描かれており、度重なる呉空襲と人々の対応もリアリティがあり、主人公もそれなりに自己主張はしていたように思えた。ただし軍港呉という特殊空間の舞台にしたという前提が理解されていなければ、闇市の繁栄や遊郭の活況は誤解を招く恐れがあり、主人公の嫁ぎ先が海軍関係者にもかかわらず、配給だけで生活しているような描写は少し不自然で、一瞬流れる軍文書廃棄の場面も気づかれないだろう。ただそういう予備知識はなくても、戦争の持つ恐ろしさは十分に観るものに伝わっていたように思え、隣席の20代らしき女性は途中からずっと嗚咽していた。むしろ戦後の描写のほうが焦点が絞れておらず、とりわけ最後の話は余りにも無理があるのではないか。なおエンドロールの最後にクラウドファンディングに応じた人々の名前が流れるのだが、その下で展開する絵がちゃんと読み取れなかった。