佐藤洋一郎『食と農の未来ーユーラシア一万年の旅』
週末も木曜日に終わらなかった授業準備の続き。博論で残したままになっていたテーマに目途がつき、夏の集中向けの新ネタにはなったが思わぬ時間をとってしまった。本日初披露の学生の反応はいまいちだったが、理解してもらえると思ったものではないので、コケた感じがせず精神的にはまだまし(もう一つは先週に引き続き大コケした)。続いて公募書類も作りかけたが、Wordの操作方法が全くわからず挫折・可能性は皆無ではないはずなのだが書類作りが楽な方にかけてあきらめるべきか・・・。電車読書のほうは、最初は今さらと思ったのだが、少し興味が引かれるところがあって衝動買いしたものhttp://www.showado-kyoto.jp/book/b99876.html。穀物栽培の通史としては農耕の始まりから現代文明が抱える課題までよくまとまったもので、知識を整理することができた。米と魚・雑穀と豆・麦とミルクというように炭水化物とタンパク質の組み合わせによる整理はわかりやすい。また河内湖の池上福万寺遺跡の環境変動も整理されており、適応形態を「しのぎの技」と概念化しているのも、先日届いた学術雑誌の論文とも重なるところがある。池上福万寺については近場でもあり元ネタから勉強する必要がある。また自然環境の変化と社会構造の変動について直接的な結びつきを追求するよりも、確率論的連鎖・災害を軽減する文化を見いだすべきだという主張も重要だろう。挿入されている写真は場当たり的だが、さすがに該博な知識を持った著者ならではのもの。