wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大門正克『語る歴史、聞く歴史』

本日は千里山14回目。目前で阪急がストップしてしまい、大金を払って地下鉄・山越えルートに切り替え、道を間違いながらようやくたどり着いたところ、普通に登校する学生が…。結局待つのが正解だったようで、相変わらずついていない。そんなこんなで電車読書のほうは近現代史シリーズの最後で、ネタ繰りというよりタイトルに惹かれて衝動買いしたものhttps://www.iwanami.co.jp/book/b330656.html。まず聞き書きの歴史を戦前・戦後の戦争体験・女性による女性の体験談の掘り起こしという三つのテーマから振り返り、次いで著者の研究の軌跡を辿りながら、目的意識的なaskから、話者の人生に寄り添ったlistenへの転換の意味をとらえ、歴史学における聞き取りの意味を問い直したもの。過去の先学への評価も興味深く、やはり瀬川清子・吉沢南は生き方も含めすごい人だったのだと改めて感じたところ。また著者の小学館通史の背景についてもいろいろ示されていて、満洲からの引き上げ時に「商売の人」が身代わりとしてソ連へあてがわれたという証言が、どのような関係を積み重ねた中で発せられたものかということも理解できた。当方は末端の兵隊として何度か聞き取りに参加した程度だが、それでも相手の話に耳を傾けた方が豊かな情報が得られるというのは実感はしている。かつての公募書類では学生を連れて聞き取りをしたいというのは必ず書いたが結局はそれも叶わず、たまに出かけたフィールドで少し話を聞くぐらいになったが、その重要さを改めて認識したところ。それにしても「ニュース」という日本語が通じなくなっているとは思わなかった。現実は日々絶望的なことばかり…。