和田晴吾「京都・嵯峨野の古墳と他界観」、河角龍典 「三次元デジタル地図で見る古代都市 長岡京・平安京の風景」 、山本雅和「中世都市京都の考古学-権力者の遺跡・庶民の遺跡-」、西林孝浩「広隆寺所蔵《弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)》と半跏思惟像の源流」、木立雅朗「京焼・清水焼と近現代の考古学-仁清・乾山から陶器製手榴弾まで-」の五編からなる大学が行った市民向け講座の記録。以前から研究を知っている河角・山本両氏のものは余り目新しさはなかったが、古墳について手際よく概説するとともに後期古墳の他界観のなかに嵯峨の古墳群を位置づけた和田氏のもの、京焼(清水焼というのはその一部を指す呼称とのこと)が有田焼のような輸出は志向せず、しかも陶工の個人名が伝えられているという独特な特質を持ち、村田製作所・京セラが理化学陶器生産を源流としていることを紹介した木立氏のものは、色々と勉強になった。京都学というととかく美化されがちで、この大学の京都学プログラムもそれを前面に押し出して売っているのだが(某教員によると市民向けの観光ガイドまでさせられるらしい)、さすがにモノにこだわる考古学が主体の本書はかろうじてそこから逃れたものになっているhttp://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/7504/year/2011/publish/1。それにしても体調は回復しない。のどの痛みも口内炎も相変わらずで何とかしてほしいところ。