wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

京都民科と大阪歴科協

ここ数年方向性を模索していた京都民科の新体制号『新しい歴史学のために』276号特集グローバル化する世界と歴史学の課題と、大阪歴科協『歴史科学』200号記念号大会特集新自由主義時代の歴史学の課題を考えるほか(あわせて201号も)が届く。同じ歴科協組織ながらスタンスは対照的で、前者はネグリ・ハートの著作を素材にした理論的考察が中心でグローバル・ヒストリーに向かっており、後者は新自由主義に対抗するものとして地域史研究の発展が措かれている。前者の委員の著作が後者で地域史を軸として書評が組まれている点が象徴的。講義科目「人類の歴史」を担当する身として、グローバル・ヒストリーは魅力的で、一昨年の大阪歴科協が用意した全国歴科協報告は地域史として非常に不満の残るものだった。それにも関わらず、自らの研究スタンスとしては、抽象的な空中戦より具体的な地域史に軸を据えたものとならざるをえない。むしろグローカル・ヒストリーを目指すべきか、方法的探求が必要なところである。