本日はレポート採点。ただ火の番をした関係で、読みさしの表題書を読了。1964年に教科書出版会社に就職し、その翌年からはじまる家永教科書裁判に「支援する出版労働者の会」の幹事として活動、1998年に定年まで2年残して退職し「子どもと教科書ネット21」事務局長として、「つくる会」・教育基本法改悪と対峙した著者による、内側からみた運動史。当方にとってそれほど目新しい叙述はないが(教科書検定に検定料を支払わなければならないのは初めて知った・・・)、全体像を俯瞰することができ最後の詳細な年表とあわせて資料として有益。前に記したことがあるが、前者の運動には歴史学会が全面的に関わっていたのに対して(歴史学研究会大会初日にあわせて教科書裁判をめぐる報告会が設定されており、岡山大学・大阪大学の日本史研究室には宣伝物があった)、後者には主流学会は声明程度で組織的な取り組みは弱かった。戦後歴史学とポストとして明確に区分でき、評価はともかくこれを抜きにした学史はあり得ないことを、ポストしか知らない世代は理解しておくべき。