本日は少し出かけなければならなくなり読みさしの表題書を読了。19世紀ドイツ語圏経済学での「方法論争」における担うべき理念は「自由」か「公正」かから出発。前者がハイエクを媒介に「科学」としてアメリカでありえない経済的人間を前提とした数学的手法を発展させていき主流派としての地位を確立。それに抗する後者の流れとして、マルクスを前提に、ポランニー・グラムシ・世界システム分析・イリイチ・レント論、さらに日本の宇沢弘文・宮本憲一などに求めた経済思想史の見取り図。前者の批判対象とした学派も含めて内在的にその功罪が紹介されており、いろいろ勉強になる。書き出しにある、「食べること」=「生きること」から始める、というのはなかば偶然ながらここで紹介してきた著作とも通底するもので、歴史学の方法としても重要。