wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

中山智香子『経済学の堕落を撃つ』

本日は少し出かけなければならなくなり読みさしの表題書を読了。19世紀ドイツ語圏経済学での「方法論争」における担うべき理念は「自由」か「公正」かから出発。前者がハイエクを媒介に「科学」としてアメリカでありえない経済的人間を前提とした数学的手法を発展させていき主流派としての地位を確立。それに抗する後者の流れとして、マルクスを前提に、ポランニー・グラムシ世界システム分析・イリイチ・レント論、さらに日本の宇沢弘文・宮本憲一などに求めた経済思想史の見取り図。前者の批判対象とした学派も含めて内在的にその功罪が紹介されており、いろいろ勉強になる。書き出しにある、「食べること」=「生きること」から始める、というのはなかば偶然ながらここで紹介してきた著作とも通底するもので、歴史学の方法としても重要。

「経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史」既刊・関連作品一覧|講談社BOOK倶楽部