wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

水野一晴『気候変動で読む地球史』

本日も姫路、漢詩文と格闘するも自己の教養のなさに呆れかえる。この10年来もう少し勉強しておけばよかったと思うことばかり…。そう言っておきながら寝てばかりなのだが、秋に向けて衝動買いしていた表題書をようやく読了https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912402016.html。著者は名古屋大学文学部地理学科卒、北海道大学地球科学研究科修士東京都立大学理学研究科博士、京都大学アジア・アフリカ地域研究か准教授を経て、京都大学文学部地理学教授が現職。学部・院生時代の日本アルプス大雪山の「お花畑」研究を経て、アフリカ熱帯高山・乾燥地の植生研究をすすめてきた自然地理学の研究者(文理学部を行き来しているように見えるのは、当該分野の東西における差によるもの)、主にアフリカを舞台としながら、一億年・一万年・1000年・10年・1日単位の気候変動について述べたもの。全く知らなかったアフリカや高山植物の微妙な生態系(風の当たり具合すら影響する)は興味深かったのだが、100年も10年も近年急速に進んだ地球温暖化、それによってアフリカ高山の氷河が急速に消滅しつつあり、それによる生態系の急激な変化が叙述の主題で、表題から想像された長期波動から短期にわたる地球史と言うよりも、現代進行形の地球温暖化に軸足を置いたもの。もちろんそちらのほうがまっとうな現代的課題なのだが、人の生業と自然との関わりという問題関心からすると肩すかしをくらった感じがするのは否めない。なお技術的なことを言うと、もう少しアフリカ大陸とピンポイントの間の中縮尺の地図を用意してもらえればありがたかった。とりわけ最後にまとめられているアフリカの自然的特徴と人類の歴史という項目に、地域割りされている地図が全く掲載されていなかったのは残念。