本日は某団交、このご時世で論点はコロナだが、あきれかえるほどの総受忍論、世のため人のためとはいえ馬鹿にされにいくのはやはり疲れる。そんななかで読みさしの表題書を読了。秋田氏の名前で衝動買いしていたもの。事件は全く知らなかったものだが、大連に本拠を置いていた船が、1914年にインド人商人と賃船契約を結び、インド人移民を乗せて香港から日本を経由してカナダバンクーバーに到着したが、「帝国臣民」にも関わらず非白人として上陸を認められず、日本・シンガポール・コルカタ近くに到着したが、強制移動させられたため徒歩でコルカタに向かうも、インド政庁の軍・警察によって逮捕・監禁・殺害されることになったという。インド(シク教徒とムスリム)・英帝国・シンガポールや香港という自由港・大日本帝国・関東都督府管轄も自由港特権を有する大連・英自治領としてのカナダ(細川氏の専門)・第一次大戦が勃発しインド植民地兵(シク教徒はグルカとともに主力)を必要とするイギリス・反英武装闘争を唱え国際ネットワークをもつガダル党・金融ネットワークなど、さまざまな要素がからみあいながら展開し、「コルカタの悲劇」がシンガポール駐留インド軍の反乱を招き日本海軍が鎮圧に協力、南アフリカで「帝国臣民」であることをインド人の権利獲得の手段として用いていたガンディーが非服従運動に転換、英自治領が次第に本国から自立するなどの変化をもたらし、2016年にカナダのトルドー首相が事件について公式謝罪するなど帝国時代の重要な記憶になったとのこと。「帝国の時代」が移民の条件となりながら軋轢をもたらし社会を動かしていく様相は興味深い。どうせなら大連の専門家も加わればとも思う。