wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

今野真二『戦国の日本語』

本日から今年度の講義開始。前期は三日6コマで専任教員並み(収入はボーナス抜きでも教授先生の1/3ぐらいヵ・)。大学門前でたまたま同業者と出会い、新年度の人事情報を交換するという悲しい儀式を済ませる。講義プリントは200近くはけたようだが、最後のカードを書かずに帰った学生がかなりいたので、登録はもう少し減るだろう。そういうわけで電車読書のほうも本格的に再開し、相変わらず毎月出版しているらしい著者の本年2月28日奥付の表題書をタイトル買いしてしまったものhttp://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309624792/。『実隆公記』・『節用集』・キリシタン関連・秀吉書簡から当時の表現のあり方が紹介されている。最新の研究にもう少し触れておいたほうがよいと思う点もあったが(例えば、『節用集』に宋元の画家の名が大量に出てくることと、あとがきで紹介されている三井記念美術館東山御物の美」とが一括りの問題であることが、ちゃんと意識されているような書き方ではない)、紹介されている事実はいろいろ興味深く、松蕈が『日葡辞書』で「まつだけ」と表記されていることも初めて知った。日本語の世界でも当該期が古代語と近代語の転換点と言うことで、その側面からも追及のしがいがありそうだ。キリシタン版についても豊島正之氏という方が近年まとまった研究を発表しているようなので、本日の講義とも関わっており一度観ておく必要がある。(追記)一行目取り消し部分は「月収」に修正。