wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

市村高男・大石一久・原口聡『石が語る西海の歴史』

本日読了した電車読書の備忘。長崎県西海市で行われたシンポジウムと関連を加えて刊行されたものということhttp://ab-books.hondana.jp/book/b220205.html。彼杵半島産の石鍋については、かつて一部で盛り上がっているのを横目で見ていただけだったが、全体像について初めて勉強することができた。また海の領主針尾城、大村氏(小・中の歴史オタク時代は親近感を覚えていたが、当方とは無関係)の諸活動と倭寇キリシタンとの関係についての詳細も理解することができ、昨年度終了の講義でいい加減な話をしていたところがあったことに気づかされた。彼杵一揆と大村氏の関係について、近世に大村氏が一揆とは隔絶した存在であったと偽装するために改変があったとの推測がされており興味深いのだが、余りにも手の込んだ工作ですぐには当否が判断できなかった。以前に佐世保までは行ったのだが、全く未踏の地で機会があれば現地も訪れてみたいところ。