wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

島尾新編『東アジアのなかの五山文化』

先週土曜日が研究会+飲み会、日曜日が組合委員会で、夜に何とか今週分のスライドの整理だけ済ませ、本日もミニッツ・ペーパーのチェックだけでこの時間に。とりあえず昨日読了した電車読書の備忘のみを残しておくhttp://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-025144-0.html。あとがきによると「五山文化」の総合的研究ははじめてということで、海域史・禅宗史・建築史・漢文学・思想史・美術史・出版・茶道など他分野の成果が一括されており、その到達を知る点で有益。宋代に点茶によるラテ・アートがあり、それを見世物にする僧侶も存在したなどいろいろ豆知識も得ることができた。気になったのが南浦紹明の九州下向が鎌倉幕府のモンゴル対策の一環として評価されているところ。この間の当該分野の研究が進展したことで疑問なのは、鎌倉幕府が渡来禅僧と強い関係を保持しながら、対モンゴル交渉では硬直的に見える態度をとり続けるのかということ。、本書の指摘はそれに反する事例ということになるが、具体例は文永の役以前のことで「陰ながらたずさわっていた」と記されているのみで、結局その疑問は解消されなかった。講義でも両義性などと逃げているが、どこかですっきりとした説明がほしいところ。なお写真は土曜日にのぼった阿倍野あべのハルカスからの眺望。薄曇りで遠方は見えなかったが、古代難波京比定地は一望できた。
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