wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大阪歴史博物館「天下の城下町 大坂と江戸」

今週は完全に絶不調で、ほとんど仕事が進まず。そういうわけで本日は気分転換に対外関係史のお勉強に出かける。余りも少人数で驚いたが、その分いろいろなお話を聞かせていただくことができ有益だった。どうもありがとうございました。研究会は博物館の貸し会場で行われていたため(シンポで何度か利用している部屋では、70年代フォークソングの催しが行われており驚いた)、研究会前に上記の特展を観覧するhttp://www.mus-his.city.osaka.jp/。信長・秀吉の城下町に関しては、この間にいくつかの博物館で開催されていた特展とかぶるものも多く、当方にとっては余り目新しいものはなかったが(出品目録でわかっていたこと)、17世紀の大坂の開発に関する文書・絵図類の中にははじめて観るものが多数あり勉強になった。ただし釈文の中にどうみても意味が通じないところがあり、かといって代案を思いつけなかったのが残念。また非常に驚いたのが、「江戸図屏風」(展示されていたのは複製)の構図。名前は知っていたのだが、てっきり洛中洛外図屏風・京大坂屏風などの江戸版だと思い込んでいた。確かに左隻には江戸城が描かれ、都市の情景もみることができる。また左隻の増上寺や右隻の寛永寺浅草寺神田明神なども洛外の寺社だと思えば、別に違和感はない。しかし右隻に鷹狩・川狩・猪狩などの狩猟場面が詳細に描かれている点は上方関連の屏風との決定的な相違で、武家の都市としての自意識を強く主張するものだと感じられた。また左隻の富士山と江戸湊にわざわざ船名を付箋に記した船が多数浮かんでいるのも、独特の性格を示すものだろう。あとで調べると割引になる裏技があったようだが、やはり現物を観て得られるところは大きい。ただし国立歴史民俗博物館のHPで詳細画像を見ることは可能で、いちおうリンクを張っておくhttp://www.rekihaku.ac.jp/gallery/edozu/mokuzi.html。新年度まで一月を切ってしまった。これまでインプットしてきたものを活字化しなければならないのだが・・・、気力の回復を願うばかり。