wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

変な「洛中洛外図屏風」

本日は水曜日に案内した講演会。入りはよかったが、相変わらず笑いのない史料解説で(それでも土曜日に史料の横に画像を入れたpptファイル40枚を丸一日かけて作った)、90分と長かったこともあり、質問時間に半数近くの席が空いた(泣)。かなり我慢していただいたようで、申し訳ない限り。ともあれ一仕事が終わった。講演は14:00開始だが、出勤は朝からで昼休みは部屋を消灯にする慣例があり、その間にようやく特別企画展を観覧することができたhttps://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/official/ex-2016-pl1.html。さすがに大きな組織だけあって、館蔵品(寄託を含む)だけで、著名人の絵画資料、名所の屏風絵、物産などに関する絵画を並べられており圧巻。ただ伝来の経緯が明確でないものが多いのは残念。その中で変な「洛中洛外図屏風」?を見かけたので報告。右隻(うろ覚えなので逆かもしれない)は下側に鴨川が描かれ、知恩院・祗園社・清水寺とその間の町並みがみられる。五条橋は存在せず、四条には中島があり橋が架けられており、鴨川の中にはなぜか運搬用の牛車が一台。左隻(?、前期展示のため写真のみ)は下が堀川で西本願寺・二条城(行列も)・北野社・金閣寺などが描かれ、奥に見える嵯峨には架橋されていない。すなわち「洛中洛外図屏風」と展示では呼んでいるが、洛中が全く描かれていないもの。もともと中世から「洛外名所図屏風」と呼ばれているものが存在するが、明らかにその系譜を引くもので、嵯峨の架橋や四条中島などから17世紀半ばに比定できると考えられる。先年に京都文博で行われた展覧会に同様の構図を持つものは見当たらなかったが、類例はあるのだろうか。図録は刊行されておらず、展示は今度の日曜日まで。関係者のお話を伺ったところ寄託品で、館から引き上げられる可能性もあるとのこと。とりあえず情報として記しておく。