wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

砂原庸介『大阪』

今朝も地下鉄はわざと遅らせのため、定時の三本遅れで動物園前乗替。何とか許容の範囲内に収まったとはいえ、状況が改善される兆しは全くなし。とんでも市長の改革の成果(国政もとんでも首相になりそうだが、なぜ有権者はこんなに社会を破壊したいのだろうか。斜に構えて棄権するなどという輩もちらほら見かけるが、「何も変わらない」のではなく「悪くなる」に荷担する行為)。そんなこんなと講義で大阪を取り上げていることもあり一応読了してみたものhttp://www.chuko.co.jp/shinsho/2012/11/102191.html大阪市と府・国との関係を歴史的に振り返り、大都市が財源的に地方に「搾取」されていると自民党システムを捉えた上で、90年代以降のそのシステムの解体からあらわれた動向として現市政を位置付けたもの。そのうえで企業体としての大都市の発展という「都市官僚制の論理」と、個別事業の細分化と効率化を求める「納税者の論理」という、相容れない方向性が示されることで強い支持を得ていると評価する。そして展望として両者のバランスをとるために都市の政党政治を創出する必要があると述べたもの。1978年生まれという行政学地方自治研究者らしく冷めた目でみた、都市と農村・東京とその他の都市・個別利害と都市全体の利害という対立軸を設定したゲーム理論で、本人の立ち位置ははっきりしないものの(謝辞に御厨貴と加茂利男が並べられる)、現状整理としてはクリアなものか・・・。その一方で現実政治の矛盾した動きを見ると物足りない気もする。