wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

高橋裕『川と国土の危機』

今朝も御堂筋線は車隔調整でわざと遅らせ。幸い堺筋線一本遅れで阪急はいつもの電車に間に合ったが、ここまでふざけた対応を取っておいて、性懲りもなくアンケートなどできるものだ。最初から昭和町以南の乗客の意見など聞く気もないくせに。そういうわけで月曜の朝から気分は悪いが、電車読書の整理だけはしておくhttp://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1209/sin_k670.html。河川工学の立場から近世中期以後の治水史を振り返りながら、高度成長期の乱開発と縦割り行政・法制度の不備・近年の気候変動が洪水リスクを再び高めているとして、その改善と意識転換を主張したもの。個々の事例紹介は手短だが、過去の調査経験の述べた部分は興味深く、近代河川政策の通史としていろいろ勉強になり、蜂の巣城籠城の概要についても初めて知った。また各章のタイトルである「社会とともに変わる川」・「川にもっと自由を」・「流域は一つ」という視点は、川が限りなく自由で、なおかつ人間の手が複雑に絡むようになった中世の河川を考える際にも、基本的な視角になるだろう。