wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

京都国立博物館「宸翰天皇の書」

本日午後は「最後の京都観光」第二弾ということで、バスで祇園まで出て、そこから建礼門院ゆかりという長楽寺を参詣、御影・塔・安徳天皇衣幡などを見学するが当方に真偽は判断できず、ただし例の金光寺を合併したたため一遍(これは室町作)・他阿以下の等身像が収蔵庫で見学できたのは圧巻。続いて坂を下りて六道珍皇寺に寄ってから六波羅蜜寺での十一面観音開帳に参詣。内陣に入る前に合掌した手に法具を持って願い事を念じて住僧に法文を唱えてもらうという宗教行事としての形態をとどめたもの。少し迷ったがせっかくだから拝観させてもらう。やはり立派なもの。次に鴨川を渡り長講堂の特別拝観(どうもこの辺りは市比売社・八条遍照寺ゆかりの上徳寺など、もともと六条以南にあった寺社が集まっているようだ。寺町建設の際に順序はどうやって決めたのだろうか)。中世文書も1点陳列され、近世の模刻という後白河像は思ったより小ぶりだった(近世彫刻で重文に指定されているのは像主によるものか)。最後に表題の展覧会にようやく辿りつくhttp://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/121013/index.html。余り期待していなかったのだが、たまたま入り口で先日お世話になった博物館の学芸員氏に出会い、紙や書についていろいろレクチャーを受けながら廻ったため大変興味深かった。そのうえ日曜日の研究会で紹介された衝撃的な文書の現物まで展示してあり、その話題をお返しすることもできた。展示品のメインは鎌倉後期で、宸翰といいながら生々しくせせこましい話題が多い。後宇多の日記が具注暦に書かれているのも意外で、専制的な王でなくなったこととこうした書状が多数残されていることは恐らくつながっているのだろう。学問的な会話をしているといろいろ浮かんでくることもあり大変勉強になった。ありがとうございました。写真は長講堂内の後白河御影堂。
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