wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

『現代思想』五月号、特集大阪

本日は出身大学院の研究室で設立された学会で研究報告。研究史を塗り替える大報告の後に結論のない報告をするのは肩身が狭かったが、報告・討論時間とも短かったため何とか切り抜ける。懇親会は久しぶりに入る生協食堂でその頃一緒にいた方々とお目にかかることができ、二次会まで懐かしい時を過ごすことができた。とはいえ研究室の行く末は前途多難なようで、その設立母体を特集した雑誌を金曜日までに読了http://www.seidosha.co.jp/index.php?%C2%E7%BA%E5。毎号の読者ではない身にはよくわからない連載と先日死去した吉本隆明の追悼文めいた文章を除いて、17の文章(インタビュー1・メールのやりとりを対談形式に再構成したもの1を含む)からなる。アメリカ村でダンスクラブの摘発が続いているという全く知らなかった事実を告発したもの、市長を批判する山口二郎ら政治改革派の議論が実は逆手にとられていることを示したものなど興味深いものもあったが、全体の基調は市政の具体的分析というより、出身大学院の地理学教室の研究者が多数加わっているように、いわゆるディープ・サウス論と在日論が強調されたものになっている。もちろん欠かせない問題で個々の論点には興味深いものがあったが、それを強調するだけでは特殊性を際立たせるだけになるだけで、別の角度からの分析もほしかったところ。なお中沢新一網野善彦を出しにしてひどい文章を書くようになったというのは初めて知った。