wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

南北朝内乱期における丹波荻野氏の動向

『東アジアにおける戦争と絵画』(甲南大学総合研究所叢書110、2012年3月)に掲載され、本日手元に到着。大学院時代に少しお世話した留学生が専任教員として活躍されており、研究費をいただいて論文を書かせてもらったもの。ちょうど某自治体史で調べたネタがあったため、それを論文化することにした。本当は自治体史がとっくに出ているはずだったのだが、遅れに遅れついに編さん室はこの3月で解散、出版予算だけ本年度に繰り越されたとのことで、順序が逆になってしまった。内容は『太平記』にも登場する荻野朝忠について、関連文書を集めてその動向を探ったもの。両使を忌避し鎌倉幕府から離反して後醍醐方と結びつき、少し様子見をするが南朝にはつかず足利方に、寺社本所領を押領し返付令が出ると幕府に反乱も山名にあっさり討伐、一時は南朝年号の文書をもらうもいつの間にか帰順、観応の擾乱期に勝手に守護遵行・またまた山名軍に敗れるも大将を切腹させて自らは再起を図る、寺社本所領押領をやりすぎて排除されるも天寿を全うという、地域権力として独自の歩みを続けた内乱期の姿が浮き彫りになり、講義でもお気に入りのネタになっている。全ての文書(花押)を写真で確認することができなかったのは心残りだが、一応の責任は果たすことができた。関係者にはお送りしようと思いますが、少し遅れるかもしれません。別の自治体史は全く進まずようやく半分程度。少しなめていたようでいろいろと知識が不足している上、なかなかやる気が出ない。花粉症なのか・ダラけうつなのかボオッと過ごしてしまい、金曜日からは新年度の講義が始まってしまう。情けない限り・・・。