wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

村井良介『戦国大名権力構造の研究』

以前にも記したが、当ブログにおいて自宅で読む研究書・論文についての論評はしないことを原則にしている。本書はそれに該当するのだが、あとがきで私の名前が明記されているので若干の言い訳を。私が属していたのは大阪市立大学河音能平ゼミで、ちょうど定年退官と学籍が切れるのが同時だったのだが、あいついで就職した他のメンバーと異なり高校の非常勤講師を中心とする生活は変わらなかったため、新たに赴任された仁木宏氏主催のゼミ・研究会に居座って数年は出席し続けており、その最初の門下生の一人として修士課程に入学したのが著者。ただし取り上げられるテーマは中世前期・社会経済史中心から、教員および著者を含む院生のテーマにあわせて中世後期・権力論中心に大きく変化し、私にとってはこれまで中世史の中でもっとも不勉強だった部分になった。史料・研究史に関する細かい予備知識が欠けていたことと、もともといらちな性格があわさって、発言が直截的なものになったためあとがきの表現になったのかと思う。この頃のメンバーがそれ以前に出した著書のあとがきでも名前は伏せられているものの、私の発言と思われることばがカッコ書きで引用されており、非常に圧迫的に感じられていたのだろう。その後は出席しなくなったためこういうかたちで取り上げられることはないと思ったが、河音ゼミのメンバーのものが残っていた。関係性は違えどやはりろくな言われ方はしないだろうが、記して頂ければそれはそれでありがたいこと・・・。なお本書終章は大山喬平氏の構成的支配概念を援用して中世全体の権力論について、研究史を振り返りながら理論的に考察したもの。本書のような王道なタイトルが残されていたほど個別研究中心の戦国期権力論の中で、どのように評価されるのか興味深いところhttp://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/shosai.php?code=9784784216109。春休みももう一ヶ月を切ってしまった。ようやく五月の報告の基礎となるDBの作成を終えたが、これから自治体史の原稿に取りかからなければならない。