wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

サラの鍵

本日は一週間ぶりに電車に乗り、図書館(防府市史、幸か不幸か東京で閲覧した東大寺文書は収録されていなかったが収穫は大)、新本屋、古本屋、実家の様子伺いに廻る。映画が1000円で見られるのに合わせたためhttp://www.sara.gaga.ne.jp/。前から気になっていたのだがタイミングが合わず、東京でも上映されていなかったため、この機会にと思い立った次第。ナチスドイツに従属したフランスペタン政権によるユダヤ人狩りび直面して、とっさに幼い弟を納屋に隠して両親とともに連行された少女のその後と、その直後に家に住み着いた家族の孫をパートナー(たぶん夫なのだろう)とする中年女性ジャーナリストの葛藤を同時並行的に描いた作品。病気で寝込みながら食糧事情の最悪な収容所で回復し、子どもだけで脱出でき、警察の追求から匿ってくれる庇護者を見つけたという少女(その後の運命はここでは記されない)が実在したとは考えにくい。しかし戦争体験しかも加害体験を含む過去について現代から振り返るという点で、アメリカ生まれの「闘志」(映画内の表現も詳しくは語られない)でなおかつ長年の不妊治療の成果にもかかわらずパートナーから出産は望まれず、義父母のとまどいや母親のことを全く知らされていなかった少女の遺児による拒否といった主人公の一筋縄でいかない問題を絡ませながら描くことで、非常にリアリティーのあるものになっている。方言までは分からないがフランス語・英語・ドイツ語などの使い分けもされており迫真性もあったが、8席ほど離れた中年女性のしゃべり声が聞こえたのは最悪の環境だった。日本でも植民地や占領地を舞台にこのような物語ができるはずなのだが、N市市長のようなどうしようもない政治家の教養と(大阪市民がいうものではないが)、それに対応したような民度ではとうてい望めないのはやはり悲しいところ。追記:実家で見たNHKローカルニュースでは大阪市の卒業式での教師の口元をアップで写していた。ここまでひどくなると、悲しんでばかりはいられないのだが・・・。あわせて表現の訂正をしました。