wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

東京の夜

昼間の行動は昨日記したが、それ以外についてもまとめておく。21日は国立公文書館から徒歩で神田に向かい古書店をめぐる。かなり久しぶりの気がするが店舗数は半減した印象で、岩波書店もうら寂しいほど閑散とした状況で、出版文化の今後を暗示しているようだった。格安のそばと丼の夕食をとり、岩波ホールグルジア出身で旧ソ連時代の79年からフランスに拠点を移したという映画監督の自伝を投影したという作品を鑑賞http://bitters.co.jp/kisha/。幼少期の映画作成ごっこ、上映が許可されないグルジア時代、商業主義で受け入れられないフランス時代、グルジアに戻り湖の底に消えるラストまで、会話も少なく説明を極力省いて描かれた作品で、かなりの想像力が必要とされる。主人公もひょうひょうとしており、何れでも隣に女性はいるがラブ・シーンも全くなく、小道具で使われる絵画もほとんどわからなかった(やたらと肖像画はあったがスターリンではなかった)。演じているのは監督の孫でグルジア語(たぶん、検閲のえらいさんのロシア語=ニェットとは異なっていた)とフランス語を見事に使い分け、わからなさにある種の心地よさを与える不思議な作品。終了後は地下鉄を三本乗り換えて(ほとんど待ち時間のないところはさすが東京)、南千住の宿に。数年前に風呂釜が壊れてからシャワー生活になったため、浴場付を探していて見つけた一泊3100円で二畳ほどの個室。どうも周辺は格安宿の集積地帯のようで、唯一あるコンビニの客は旅行者ばかりで300mlの日本酒が売り切れてしまっていた。久しぶりの風呂はゆっくり足をのばすことができ、22日は五輪予選にあわせて入ったため貸し切り状態。湯上がりにうるさい民放ではなく衛星で試合を見始めてすぐに得点が入るというタイミング。ただし22日はJR・23日は地下鉄を利用したが何れも超満員電車で、やはり東京は人だらけ。適当な朝食場所もなかったため、二日とも東大近くの東京ローカル牛丼屋で大盛り飯をたのみ途中から卵かけご飯にした(昼食時間節約のため朝はがっちり食べる)。22日の夜は池袋に出て戦後史のネタふりも考えて話題作を鑑賞するhttp://www.always3.jp/。こちらは前日とは正反対のわかりやすさで、プレイボーイに見えた医師が実はという以外のほとんど展開は読めたのだが、映画館でこれだけ大泣きしたのははじめて。しがない中年非常勤講師にとって売れない文筆家の話はどうしても感情移入してしまうようで、最後は涙が止まらなくなった(せめて身近な幸せぐらい・・・)。特急列車の編成は長すぎるような気がしたが、モータリゼーション化の進行、家電・自動販売機の普及による共同性の薄れなどの背景をふまえた上でのファンタジーとしてよく出来た作品。その日の夕食も関西の王将もどきの安中華チェーンという全くのデフレ生活だったが、充実した調査旅行になった。